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よー、まいごっど

歴史創作と一次創作。

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さんじゅうさん、一日一小話

080821
 *1059/十勇士「余計な世話だ」



どちらも口数が極端に少ないため、昼下がりの縁側は異様な雰囲気を漂わせていた。
 背中の温みと重みに気を払いながら、且つ手元の火薬の調合にも細心の注意を払う。その状況で六郎は朴訥と側に立つ男に視線だけを向けた。何の用かと問う意味である。
 問われた十蔵はさて、何の反応も示さない。ここで手を差し出せば「火薬を分けてくれ」という意味で、顎を奥の間へとしゃくるような仕種であれば「利世さまがお呼びだ」という意味である。他にもいくつか暗号めいた無言の態度があるのだが、ただ突っ立ったまま、の意味に思い当たるものはない。六郎は手を止めて十蔵に視線を注ぎ続ける。背中の気配にだけは気を配りつつ。
 しばらく、言葉はおろか動きすらなく、ただ静寂が続く。そして十蔵が、動いた。
 もそりと羽織から指が覗く。種子島を操る指はそろそろと、六郎の背中を、正しくは背中に寄りかかっている主を示した。
「海が、」
 同時に薄く開いた唇、そこから零れた声は虫の羽音よりも小さかっただろう。草としての術がなければ聞き取れなかったかも知れない。六郎は続く言葉を待った。相変わらず背中の主君に、決して起こさないよう気を払う。
「月が、何もしないようにと」
 海とは海野六郎である。また月とは六郎自身のことであった。小助が両方“六郎”で分かりづらいとの理由から二人の六郎をこう呼んでいるため、十蔵にもその呼称がうつったのだろう。
 それにしても「海が、月が、何もしないように」とは――
 わずかのあいだ考えて、六郎は微かに息を吐いた。さすが海野、目をつけるところが違う。違い過ぎる。それを世ではこう言う。十蔵を相手に言っても仕方がないのだが、





今日はお留守番(望月の六郎とお目付け十蔵と居眠り幸村)
 ...九度山時代。
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